矯正治療をすると、歯並びがきれいになり、スマイル(笑ったときの顔貌)もとても美しく、機能的にも物が良く咬めるようになり、また左右の咬むバランスが取れてくることにより、あごの痛み、肩こりなども改善していくといわれています。最近は、こうした情報も広く一般的に報道されるようになり、自分から矯正に興味を持って、来院される患者さんも多くいらっしゃいます。

しかしその一方で、矯正中は複雑な装置が歯につくため、汚れがたまりやすくなります。 そのため、歯ブラシを怠ると、歯肉が腫れたり、虫歯ができたりするリスクが高くなります。

これでは、せっかく歯並びやかみ合わせが良くなっても、お口全体にとってはマイナスの面も多く、見た目もきれいではなくなってしまいます。

そこで、当院では、矯正治療をはじめるまえに、口の中の、細菌の種類を培養して調べたり、だ液の性質や、生活習慣を考慮して、その人がどのくらい虫歯になりやすいか調べます。そしてご自分が、どのくらい虫歯に対するリスクを持っているかを知っていただき、ブラッシングの重要性を十分ご理解していただいてから、治療をはじめることにしています。

虫歯になりやすい方の場合には、ブラッシングのテクニック指導に加えて、補助的な自己管理として、家庭用のフッ素ジェルや、キシリトールガムの効能と使用法を説明の上で、お勧めしています。

矯正治療においては、歯並びだけでなく、お口の中全体を管理していくことが、非常に重要になります。

そのため来院時には、歯科衛生士によるプロフェッショナルケア―として、虫歯のチェックや、歯科用のフッ素を塗ったり、歯にこびりついた歯石を除去したりしています。

来院は、1ヶ月に1回程度のペースになりますので、衛生士によるチェックと、患者さんの自宅での自己管理との連携がとても大切です。

ただ、小さいお子様の患者さんの場合ですと、うまく自己管理ができません。

本当は、私たちスタッフが、24時間お口の中をケアできれば良いのですが、来院されたときしか診ることができませんので、どうしても保護者の方の協力が必要です。 そのため、保護者の方もいっしょにブラッシング指導に参加していただき、仕上げ磨きの方法などについてもご説明しています。

このように、生活全体でのプラークコントロールをサポートしていくことにより、かむ機能だけでなく、清潔な美しい仕上がりを目指しております。


■細菌の種類
お口のなかには2〜5億個の細菌がいると言われ、その種類もさまざまです。
そのうち、もっとも虫歯に関係が深い菌が、ミュータンス菌と、ラクトバチルス菌です。 ミュータンス菌は、からだの周りにねばねばしたものを作るのが特徴です。
そして歯に付着して、うがいくらいでは絶対に取れません。歯を溶かす能力も高いので、 どんどん虫歯を作ってしまいます。
ラクトバチルス菌も、歯を溶かす力が強力な菌で、進行中の虫歯のなかに多くいると言われています。
これらの菌がどれくらいいるのか、人によってさまざまです。多くいる人は、虫歯になりやすい体質といえます。


■虫歯に対するリスク
虫歯になりやすいかどうかの判定です。
当院では、cariogram(カリオグラム)というソフトに虫歯の原因となる要素を入力していくことにより、虫歯になる確率を出しています。
その要素をここに紹介します。

@ どのくらいの量の細菌(歯垢)がいるか
 →お口の中には細菌がいて、たくさんいればいるほど虫歯になりやすいのです。

A どんな種類の細菌がいるか
 →細菌にもいろいろな種類があります。
 つよい菌多ければ多いほど虫歯になりやすくなります。

B その人がどのようなものをたべているか
 →細菌の栄養になる食べ物を多く食べる人ほど虫歯になりやすくなります。  

C その人が一日に何回たべるか
 →つねに口の中に栄養があると、細菌はどんどん増えていきます。

D 再石灰化がどのくらい効果的か
 →フッ素を使うと、再石灰化が起こりやすくなります。

E 唾液にどのくらい酸に対する希釈効果または中和効果があるか
 →唾液が、あまりでないひとや、酸をうすめにくい唾液の人は、虫歯になりやすくなります。


■フッ素
フッ素は、私たちのからだに摂取されている必須栄養素のひとつでもあり、歯質を強化する能力が最も高いことから、世界各国で虫歯予防に利用されています。
@歯の強化作用
歯の表面にはエナメル質というかたい層がありますが、これには不安定な部分が混じっています。フッ素はこの部分と入れ替わり、安定した結晶構造へと作り変えます。このことにより、歯は虫歯菌の出す酸に溶けにくい強い歯に変わります。
A再石灰化の促進
フッ素は虫歯菌の出す酸によって溶け出してしまったカルシウムが、再び歯にもどる再石灰化作用を促進します。
B抗菌作用
フッ素自身が虫歯菌に対して抗菌作用を持っているので、虫歯菌の活動を抑制します。


■キシリトール
キシリトールは野菜や果実など幅広い天然素材にも含まれている成分で、虫歯の原因にならない甘味料として注目されています。
通常、ミュータンス菌などの虫歯菌は、ショ糖などの糖分を代謝して酸を作り出します。
キシリトールは、ミュータンス菌などが代謝をする事ができず、菌の体内に蓄積し細菌にとっては毒のような効果があります。つまり、キシリトールによって酸をつくられることがなく、ミュータンス菌を弱らせる作用もあるのです。


プロフェッショナルケア―
歯科ではPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング)と言われ、歯科衛生士が、専門の機械を使って歯の表面についている歯石や歯垢、色素沈着などを落とし、つるつるにきれいに仕上げることをいいます。
普段磨き残してしまう歯と歯の間の部分や、歯肉の下に隠れている部分もきれいにします。 歯の研磨はフッ素入りのペーストで行い、初期の虫歯のある部分には歯科医院用の濃度の高いフッ素を塗ったりします。
これを定期的に続けることにより、虫歯を作りにくくしていきます。
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